わが家の食卓 in Jordan

食材、料理を通してヨルダンでの生活をご紹介します

ぶどう三昧


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今年はぶどうの当たり年なのかしら、と思ったほどです。

 

青果店に並ぶばかりでなく、街角で軽トラックにぶどうだけ山のように積んで売っているのは、産地直送なのでしょう。緑色の少し細長い実の品種が多いのですが、今年は盛夏を過ぎてから赤紫色や濃い紫色のものも沢山出てきました。例年より品質もよく、お値段は半分以下といった感じです。

ヨルダンでもぶどうは主に生食します。ぶどうジュースはあまり一般的ではなく、ムスリムにお酒はご法度なのでワイン用は無いと思われます。加工品で一番馴染みのある干しぶどうは、少し酸味の強い緑色の品種のものが好まれているようで、お菓子のトッピングや料理に使われています。庭にブドウの木を植えているお家もあります。実を楽しむだけでなく繁った葉を摘んでダワーリにすることもあります。(ダワーリについては記事下のリンクをどうぞ) 

 

この夏はわが家でもずいぶんたくさんのぶどうを消費しました。ひと房が大きな品種なので小房に分けて洗い、ガラスの大皿に盛って器ごと冷やしていました。暑さが続く毎日のおやつにピッタリでした。

 

ところで。

はじめに当たり年かしらと書きましたが、そうではありませんでした。

なんとこれもコロナの影響だったのです。

物流が完全に止まっていたわけではありませんが、例年なら輸出されていたぶどうがコロナの影響で輸出されず国内に出回ることになったのだそうです。ヨルダン国内では見たことのないような綺麗で立派なヨルダン産の果物が近隣国で売られているという話を、以前聞いたことがあります。実際に見て驚いたという話です。ぶどうもそうした果物だったのでしょう。

 

外出禁止令や県境越え禁止などは解かれましたが、こんなところにもコロナの影響があったというお話でした。

 

 

zarqa.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白キュウリとハグラウリ?

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友人がベランダ菜園の収穫をSNSに載せていました。夏を感じさせる写真でした。

こちらでも今年は冷夏?と思っていましたが、ずいぶん暑くなりました。

 

今日の写真はファッグース ( 白胡瓜 ) と、ジャァビール( はぐらうり?) です。

コロナ対策の外出制限などが緩和されて、少し遠出した際に購入しました。

ふだん買い物をしているお店では、ほとんど見かけないので栽培地域が限られているのかもしれません。

キュウリには世界中にとてもたくさんの品種があるそうで、現在の日本でも特定の地域で作られ、地域の名前のついた品種があったりします。

 

お皿の奥と画面右にあるのがファッグースです。薄い緑色のキュウリで、表面に細かいうぶ毛があります。

緑色のキュウリよりキメの細かい感じで柔らかめですが、食感はパリッとしています。

青くささも無く、生でそのままが美味しいと思います。

 

お皿の左手前にあり、かぼちゃ風の皮で、小さなラグビーボール様のがジャァビールです。

縞模様を見てウリ坊という言葉を思い出しました。由来となるウリはマクワウリらしいですが。

ジャァビールはハグラウリと呼ばれているものに似ていて 、こちらもクセのないキュウリの様な味わいです。

硬そうに見える皮は薄くパリッとしています。一方、種のない果肉の部分は充実していてご極く微かにねっとりした食感が有ります。

見た目に反して、こちらも生でパリパリがおススメ。相性のいいドレッシングやディップを工夫すれば楽しいかもしれません。

 

キュウリやウリは暑い季節の水分やカリウムの補給に最適。体を冷やしたり、むくみ解消の効果もあるそうです。

暑さはこれからが本番、夏バテせずに乗り切りたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

お手玉みたいな桃 〜 蟠桃 又は ガゼルのかかと 〜

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色々な果物が出回る季節になりました。

左側は日本では珍しいお手玉のような形の桃、蟠桃(ばんとう)、右側はご存知アメリカンチェリーです。

蟠桃は形こそ独特なものの細かな毛のついた皮と香りは桃そのもの。果肉は私たちに馴染み深い桃よりはやや硬めですが、ジューシーで味も香りも強くしっかりしています。甘い中にもスッキリした酸味があって、ふっと梅のような香りがよぎります。

 

蟠桃は、中国原産で西遊記にも出てくるそうです。

悟空が玉帝に管理を任されたのが西王母の蟠桃園。ところがここの桃を食べると仙人になれる、不老長生になる、寿命がこの世の長さと同じになると聞かされ、悟空はお腹いっぱい食べてしまう。怒った玉帝は悟空を死刑にしようとするが桃を食べた悟空は死なない。玉帝は釈迦如来に助けを求め、釈迦如来は五行山に悟空を五百年間閉じ込める…

不老不死になるというのは単なる噂ではなかったのですね。

 

他にも桃太郎や桃源郷の話など、東洋には桃に特別な果物というイメージがついていそうです。

 

さてヨルダンではこの蟠桃、珍しいわけでもない今が旬の「ガゼルのかかと」です。

アラビア語を直訳すると「かかと」ですが形から考えて「ひづめ」なのでしょう。

果物を動物の足に例えるとはと思いましたが、ガゼルは良いイメージのかわいい動物だそうで「サルのような子どもでも親にとってはガゼル」という諺?もあるそうです。

普段の生活に欠かせない紅茶や小麦粉のブランドにもガゼルを使っているものがあります。

 

蟠桃は毎年沢山お店に並びますが、ヨルダン ( の動物園 ) でガゼルを見たかどうかは思い出せません。もしどこかでガゼルを見る機会があったら、足元を観察してみたいと思います。

 

 

おやつに作ったオレンジのパウンドケーキ

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週末、ヨルダンでも包括的外出禁止ということで、一般の日用品の買いだしはもちろん、外出許可証所有者も外出禁止。全ての店舗も閉鎖、医療機関や感染症調査チームなどだけが働いている、という状況でした。

外出禁止令が出てからの毎日に、これといった変化はありません。業務停止による被害に対して、政府の社会保障チームが支援システムを構築中だそうです。

 

そんな中、幸い食料品や日用品には不自由していないものの、わが家はおやつの在庫切れ!

基本的にずっと家にいて変化に乏しい生活をしていると、食事やおやつぐらい楽しく変化のあるものをと思うのですが、ティータイムも増え、そうそうアイディアも浮かばず。

なんとか常備品で目先の変わったものをと、生のオレンジを使ってアップサイドダウンケーキ風にパウンドケーキを焼きました。

 

カラメルシロップと

スライスしたオレンジを底に敷いて、

オレンジ果汁を加えたパウンドケーキの生地を流し入れます。

パウンド型でなく、

底が平らで広いオーブン用の深丸皿を使って焼きました。

オレンジの形を見ながら、適当な形に切り分けます。

 

カラメルが濃かったのかオレンジの水分を補うべきだったのか、

焼き色が偏りオレンジの皮も少し硬くなってしまいましたが、自家製おやつとしてはまあまあの出来。

オレンジの皮はやや不評で、ここは改善の余地がありそうです。

 

次の買い物では、お菓子やおやつの材料も調達しようと思います。

 

キズハ ( 匂い黒種草のペースト ) を使ったお菓子

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4月になりましたが、ヨルダンはcovid19対策の外出禁止令が出たままです。

今は医療機関やライフライン関連、小規模の小売店舗など限られた企業は動いていますが、教育機関も全て閉鎖、条件つきで日用品の買い出しだけ許されているという状況です。車社会なのに車での外出は出来ません。わかっているヨルダン国内の感染者は300人弱ですが亡くなった方も出てしまい、油断禁物というところでしょう。

 

今日はキズハ ( 匂い黒種草のペースト ) を使ったお菓子の紹介です。お菓子の名前もキズハ。お店で売っているものにはナッツが一切れに一片のっていますが、今回はわが家に買い置きがないので省略しました。

セモリナ粉にベーキングパウダー、油、砂糖、キズハと順々に混ぜ、

最後に牛乳を加えてまとめ、

薄く広げて( 写真のは少し厚すぎました ) オーブンで焼きます。

熱いうちにシロップをかけて染み込ませます。

キズハには独特の苦味とほのかな辛味が有りますが、シロップのことも考えて生地の砂糖は控えめにした方がいいようです。

黒いお菓子といえば、日本でも以前に黒ごまプリンや黒ごまパンケーキが注目されたことがありました。だからでしょうか、私はキズハを知ってから暫く黒練りごまだと思っていました。タヒニーヤという白練りごまはあるんですよ。

 

黒種草 ( クロタネソウ ) は何種類も有りますが、そのほとんどは園芸用の品種で毒性があって食用にはなりません。それらしい花を見かけても種の味見などなさいませんよう。

キズハに使われているのはニオイクロタネソウというもの。ゴマ粒より小さいぐらいの真っ黒な種を粉砕してペーストにしています。食品として種のままでも、また種からとったオイルも売られています。オイルには様々な薬効があるとされていてリーフレットには「死」以外には何にでも効くとまで書いてあります⁉︎  こんな記述はともかく大昔から使われていた可能性もあり、実際にたくさんの研究がなされている食品なのです。