お手玉みたいな桃 〜 蟠桃 又は ガゼルのかかと 〜
色々な果物が出回る季節になりました。
左側は日本では珍しいお手玉のような形の桃、蟠桃(ばんとう)、右側はご存知アメリカンチェリーです。
蟠桃は形こそ独特なものの細かな毛のついた皮と香りは桃そのもの。果肉は私たちに馴染み深い桃よりはやや硬めですが、ジューシーで味も香りも強くしっかりしています。甘い中にもスッキリした酸味があって、ふっと梅のような香りがよぎります。
蟠桃は、中国原産で西遊記にも出てくるそうです。
悟空が玉帝に管理を任されたのが西王母の蟠桃園。ところがここの桃を食べると仙人になれる、不老長生になる、寿命がこの世の長さと同じになると聞かされ、悟空はお腹いっぱい食べてしまう。怒った玉帝は悟空を死刑にしようとするが桃を食べた悟空は死なない。玉帝は釈迦如来に助けを求め、釈迦如来は五行山に悟空を五百年間閉じ込める…
不老不死になるというのは単なる噂ではなかったのですね。
他にも桃太郎や桃源郷の話など、東洋には桃に特別な果物というイメージがついていそうです。
さてヨルダンではこの蟠桃、珍しいわけでもない今が旬の「ガゼルのかかと」です。
アラビア語を直訳すると「かかと」ですが形から考えて「ひづめ」なのでしょう。
果物を動物の足に例えるとはと思いましたが、ガゼルは良いイメージのかわいい動物だそうで「サルのような子どもでも親にとってはガゼル」という諺?もあるそうです。
普段の生活に欠かせない紅茶や小麦粉のブランドにもガゼルを使っているものがあります。
蟠桃は毎年沢山お店に並びますが、ヨルダン ( の動物園 ) でガゼルを見たかどうかは思い出せません。もしどこかでガゼルを見る機会があったら、足元を観察してみたいと思います。